Google Analyticsは、Webサイトのパフォーマンスを理解し、改善するために不可欠なツールです。Webサイトへの訪問者がどこから来て、サイト内で何をしているのか、そしてどのようなコンテンツが最も効果的であるかを、データに基づいて明確に把握できます。しかし、その強力な機能ゆえに、初心者の方にとってはどこから手をつければ良いのか戸惑うことも少なくありません。本記事では、Google Analyticsの基本的な使い方を初心者にも分かりやすく解説し、Webサイト運営におけるデータ活用の第一歩をサポートします。
Google Analyticsとは何か? なぜ重要なのか?
Google Analyticsは、Googleが提供する無料のWeb解析ツールです。Webサイトにアクセスしたユーザーの行動データを収集・分析することで、サイトの現状を把握し、改善点を見つけることができます。まるでWebサイトの「健康診断」のようなもので、どこに課題があり、どこを伸ばすべきかを示してくれます。
Google Analyticsの基本機能
Google Analyticsは、多岐にわたるデータを提供します。
- ユーザーに関する情報: どこからアクセスしているか(国、地域)、どんなデバイスを使っているか(PC、スマホ)、どのような興味を持っているかなど。
- 行動に関する情報: どのページを閲覧したか、どれくらいの時間滞在したか、どの経路でサイトを移動したかなど。
- 集客に関する情報: どこからサイトに流入したか(検索エンジン、SNS、広告など)。
- コンバージョンに関する情報: 目標達成(商品購入、問い合わせ、資料ダウンロードなど)の状況。
Google AnalyticsがWebサイト運営にもたらすメリット
データに基づいた意思決定は、Webサイトの成功に不可欠です。
- 改善点の特定: ユーザーが離脱しやすいページや、見られていないコンテンツを特定し、改善策を講じることができます。例えば、特定のページで直帰率が80%を超える場合、そのページのコンテンツやデザインに問題がある可能性が高いと判断できます。
- マーケティング施策の最適化: どの集客チャネルが効果的か、どのキーワードでユーザーが流入しているかを把握することで、広告費の無駄をなくし、より効果的なマーケティング戦略を立てられます。例えば、特定のキーワードからのオーガニック検索流入がコンバージョンに繋がりやすい場合、そのキーワードに関連するコンテンツを強化するなどの対策が可能です。
- ユーザー体験の向上: ユーザーの行動パターンを理解することで、サイトのデザインやナビゲーションを改善し、より使いやすいサイトにすることで、ユーザーの満足度を高めます。平均ページ滞在時間が短い場合、コンテンツの魅力を高める必要があります。
Google Analyticsの導入準備と設定
Google Analyticsを利用するには、まずアカウントを作成し、Webサイトにトラッキングコードを設置する必要があります。これはWebサイトに「センサー」を取り付けるような作業です。
Google Analyticsアカウントの作成
Googleアカウントがあれば、すぐにGoogle Analyticsアカウントを作成できます。
- Google Analyticsのウェブサイトにアクセス: analytics.google.com にアクセスし、「無料で設定」をクリック。
- プロパティの作成: 測定したいWebサイトごとに「プロパティ」を作成します。プロパティ名、タイムゾーン、通貨を設定します。
- データストリームの設定: Webサイトのプラットフォーム(ウェブ、Androidアプリ、iOSアプリ)を選択し、ストリーム名とURLを設定します。
Webサイトへのトラッキングコードの設置方法
トラッキングコードとは、Google Analyticsがデータを収集するためにWebサイトに埋め込むJavaScriptコードのことです。
-
WordPressの場合:
- プラグインを利用する: 「Site Kit by Google」や「MonsterInsights」などのプラグインを使用すると、コードを直接編集することなく簡単に設置できます。これは最も推奨される方法です。
- テーマの編集: テーマの
header.php
ファイルに直接トラッキングコードを貼り付けることも可能ですが、テーマのアップデート時に消えてしまう可能性があるため、子テーマを使用するか、上記プラグインの利用が安全です。
-
HTMLサイトの場合:
- 各ページの
<head>
タグ内にトラッキングコードを直接貼り付けます。これは手作業で行う必要があります。 - Google Tag Managerを使用すると、複数のトラッキングコードを一元管理できるため、より効率的です。
- 各ページの
Google Tag Manager(GTM)の活用
Google Tag Manager(GTM)は、Webサイトのコードを直接編集することなく、Google Analyticsなどのタグを管理できるツールです。
- メリット:
- コード編集不要: プログラミングの知識がなくても、タグの設置や変更が可能です。
- 管理の効率化: 複数のタグ(Google Analytics、Google Ads、Facebook Pixelなど)を一元的に管理できます。
- 迅速なデプロイ: 変更を公開するまでの時間が短縮されます。
- 設定方法:
- GTMアカウントを作成し、コンテナを設置。
- Webサイトの
<head>
と<body>
タグにGTMのコードを貼り付けます。 - GTMの管理画面で、Google Analyticsのタグを設定し、トリガー(例:ページビュー)を設定して公開します。
Google Analyticsの基本的なレポートの見方
Google Analyticsのダッシュボードには、さまざまなレポートが表示されます。まずは、基本となるレポートから見ていきましょう。 Customer journey とは
リアルタイムレポート:現在の訪問者を把握する
リアルタイムレポートは、現在サイトにアクセスしているユーザーの状況をリアルタイムで表示します。
- 表示場所: 左側のメニューから「リアルタイム」をクリック。
- 確認できる情報:
- 現在アクティブなユーザー数: 今何人がサイトを見ているか。
- トップリファラー: どこからユーザーが来ているか(例:Google検索、特定のSNS)。
- トップのアクティブページ: どのページが今最も見られているか。
- 地域: どの地域からアクセスがあるか。
- イベント: 設定したイベント(例:動画再生、ボタンクリック)が発生しているか。
- 活用例: 新しいキャンペーンを開始した際、その効果がすぐに現れているかを確認できます。例えば、SNSでコンテンツをシェアした後、すぐにリアルタイムレポートで流入が増えているかを確認することで、キャンペーンの効果を即座に把握できます。
集客レポート:どこからユーザーが来ているのか
集客レポートは、ユーザーがあなたのWebサイトにどのようにたどり着いたかを示します。
- 表示場所: 左側のメニューから「集客」をクリック。
- 確認できる情報:
- チャネル: オーガニック検索(Googleなどの検索エンジン)、ダイレクト(URL直接入力)、ソーシャル(SNS)、リファラル(他サイトからのリンク)、有料検索(広告)など。
- 参照元/メディア: どのWebサイト(参照元)から、どのような方法(メディア)でアクセスがあったか。例えば、「google / organic」はGoogle検索からのオーガニック流入を示します。
- キーワード: 検索エンジンでどのようなキーワードが使われてアクセスがあったか(Google Analytics 4では、Google Search Consoleとの連携が必要)。
- 活用例: どのマーケティング活動が最も効果的にユーザーを呼び込んでいるかを評価できます。例えば、オーガニック検索からの流入が最も多い場合、SEO対策が成功していると判断できます。Facebookからの流入が少ない場合は、SNS戦略を見直す必要があるかもしれません。特定の記事からのリファラル流入が多い場合、その記事が特定のコミュニティで共有されている可能性があり、さらにそのコミュニティに合わせたコンテンツを提供することも検討できます。
エンゲージメントレポート:ユーザーの行動を把握する
エンゲージメントレポートは、ユーザーがサイト内でどのように行動しているかを示します。Google Analytics 4(GA4)では、セッション、ページビュー、コンバージョンという従来の指標に加え、「エンゲージメント」という概念が重視されます。エンゲージメントとは、ユーザーがWebサイトで意味のある行動をしたことを指します。
- 表示場所: 左側のメニューから「エンゲージメント」をクリック。
- 確認できる情報:
- イベント: ページビュー、スクロール、クリック、ファイルダウンロード、動画再生など、ユーザーが行った具体的なアクション。
- ページとスクリーン: どのページがどれくらい閲覧されているか、平均エンゲージメント時間、総収益など。
- ランディングページ: ユーザーが最初にアクセスしたページ(入り口ページ)のパフォーマンス。
- 活用例:
- 離脱率の高いページ: 特定のページで「平均エンゲージメント時間」が極端に短い場合、そのページのコンテンツがユーザーの期待に応えられていない可能性があります。コンテンツの改善や、より関連性の高い情報への誘導を検討します。
- 人気のコンテンツ: 多くの「ページビュー」と長い「平均エンゲージメント時間」を持つコンテンツは、ユーザーにとって価値が高いことを示しています。同様のコンテンツをさらに作成したり、そのコンテンツを他の関連コンテンツに誘導するハブとして活用したりできます。
- ユーザーの興味: どのイベントが頻繁に発生しているかを見ることで、ユーザーがサイト内で何に興味を持っているかを把握できます。例えば、「ファイルダウンロード」イベントが多い場合、提供している資料がユーザーのニーズに合致していることを示唆します。
ユーザーレポート:訪問者の属性を理解する
ユーザーレポートは、Webサイトにアクセスしているユーザーの属性(年齢、性別、地域、使用デバイスなど)を理解するのに役立ちます。
- 表示場所: 左側のメニューから「ユーザー」をクリック。
- 確認できる情報:
- デモグラフィック: 年齢層、性別、興味関心(Googleシグナルを有効にしている場合)。
- テクノロジー: 使用デバイス(デスクトップ、モバイル、タブレット)、ブラウザ、OSなど。
- 地域: 国、都市など。
- 活用例:
- ターゲット層の確認: 想定しているターゲット層と実際の訪問者層が一致しているかを確認します。例えば、20代の女性をターゲットにしているサイトで、実際の訪問者が40代の男性が多い場合、マーケティング戦略やコンテンツを再検討する必要があります。
- デバイス対応の最適化: モバイルからのアクセスがPCよりも圧倒的に多い場合、モバイルファーストでのWebサイトデザインやパフォーマンス最適化がより重要になります。
- 地域ごとの戦略: 特定の地域からのアクセスが多い場合、その地域のニーズに特化したコンテンツやプロモーションを展開することを検討できます。例えば、特定の都市からのアクセスが非常に多い場合、その都市に特化したイベント情報や地域情報を発信するコンテンツを増やすことが有効です。
Google Analyticsで見るべき重要指標(KPI)
Google Analyticsには膨大なデータがありますが、すべてを追う必要はありません。Webサイトの目標達成に直結する重要な指標(KPI: Key Performance Indicator)に焦点を当てることが重要です。
訪問数とユニークユーザー数
- 訪問数(セッション): Webサイトへのアクセス回数。一人のユーザーが複数回アクセスすれば、その都度カウントされます。
- ユニークユーザー数: Webサイトを訪問した実際の人数。同じユーザーが期間中に何度アクセスしても、1人としてカウントされます。
- なぜ重要か: Webサイトの規模や成長を測る基本的な指標です。訪問数が増えているのにユニークユーザー数が伸びていない場合、既存のユーザーがリピートしている可能性が高いですが、新規ユーザーの獲得には課題があるかもしれません。
- 改善のポイント: 訪問数を増やすには集客施策(SEO、SNS、広告など)を強化し、ユニークユーザー数を増やすには新規ユーザーがアクセスしやすいコンテンツやプロモーションを検討します。
直帰率と離脱率
- 直帰率: ユーザーが1ページだけ見て、他のページに移動せずにサイトを離れた割合。
- 離脱率: 特定のページを最後にサイトを離れた割合。直帰率とは異なり、複数ページを閲覧した後でもそのページでサイトを離れればカウントされます。
- なぜ重要か:
- 直帰率が高いページ: そのページの内容がユーザーの期待に応えていない、あるいはコンテンツが分かりにくい可能性があります。例えば、記事の冒頭で興味を引けない、情報が不足している、デザインが使いにくいなどが考えられます。
- 離脱率が高いページ: そのページがユーザーの目的を達成した場所(例:サンクスページ、商品購入完了ページ)であるなら問題ありませんが、途中の記事ページなどで高い場合は、そのページから次に誘導する導線が不足している可能性があります。
- 改善のポイント:
- 直帰率: 導入文の改善、関連コンテンツへの内部リンクの設置、ページの読み込み速度の向上、モバイルフレンドリーなデザインの導入。
- 離脱率: ページ内のコンテンツを充実させる、関連性の高い記事への誘導、CTA(Call To Action)の明確化。
平均セッション時間と平均エンゲージメント時間
- 平均セッション時間(GA3): ユーザーがサイトに滞在していた時間の平均。
- 平均エンゲージメント時間(GA4): ユーザーがサイトで「エンゲージ」していた(能動的に操作していた)時間の平均。GA4では、単にページを開いているだけでなく、スクロール、クリックなどの操作があった時間を指します。
- なぜ重要か: ユーザーがコンテンツにどれだけ興味を持ち、深く読んでいるかを示す指標です。時間が長いほど、ユーザーがコンテンツに価値を見出している可能性が高いです。
- 改善のポイント: 質の高いコンテンツを作成する、動画や画像などのマルチメディア要素を取り入れる、読みやすいデザインにする、ユーザーの興味を引くような魅力的な見出しや導入文を作成する。
コンバージョン率と目標達成数
- コンバージョン: Webサイトの目標達成を示す特定の行動(例:商品購入、問い合わせ、資料ダウンロード、会員登録)。
- コンバージョン率: サイト訪問者のうち、コンバージョンに至った割合。
- なぜ重要か: Webサイト運営の最終目標に直結する最も重要な指標です。コンバージョン率が高いほど、Webサイトがビジネス目標を効率的に達成していることを示します。
- 設定方法: Google Analyticsで「目標」または「コンバージョン」を設定することで計測できます。例えば、「/thanks/」ページへの到達を目標として設定することで、資料ダウンロードの完了を追跡できます。
- 改善のポイント: ユーザー導線の最適化、CTA(Call To Action)の改善、フォームの入力項目の簡素化、A/Bテストによる効果検証。
Google Analyticsでデータを分析し、改善策を立てる
データをただ見るだけでなく、そこから「なぜ」を考え、具体的な改善策に繋げることがWeb解析の醍醐味です。
レポートのカスタマイズとセグメントの活用
デフォルトのレポートだけでは見えにくいインサイトを発見するために、レポートのカスタマイズやセグメントの活用が有効です。
- レポートのカスタマイズ:
- GA4では、標準レポートに加えて、「探索」機能を使って自由にレポートを作成できます。例えば、特定のユーザー属性(例:モバイルユーザー)と特定のイベント(例:購入)を組み合わせて分析するレポートを作成できます。
- ダッシュボードを作成し、よく見る指標を一覧で確認できるようにすることも可能です。
- セグメントの活用:
- 特定の条件でユーザーを絞り込んで分析する機能です。例えば、「モバイルユーザー」「特定の地域からのユーザー」「過去に商品を購入したユーザー」など、様々な条件でセグメントを作成できます。
- これにより、特定のユーザー層の行動パターンを深く理解し、その層に合わせた改善策を検討できます。例えば、モバイルユーザーの直帰率が高い場合、モバイルサイトの使いやすさに問題がある可能性が高いと判断できます。
データの「なぜ?」を掘り下げる分析手法
データから「なぜ」を考えることが、次のアクションにつながります。
- ドリルダウン分析: 全体から詳細へと掘り下げていく分析手法。
- 例:「集客」レポートで全体的な流入チャネルを確認し、特定のチャネル(例:SNS)のパフォーマンスが低い場合、さらにそのSNSチャネルの中のどのプラットフォーム(例:Facebook、Twitter)からの流入が少ないのか、どの投稿が成果を上げていないのかを掘り下げていきます。
- 比較分析: 異なる期間やセグメント間でデータを比較する分析手法。
- 例:先月と比較して今月のコンバージョン率が下がった場合、何が原因かを特定するために、流入チャネル別、デバイス別などで比較し、どこに変化があったのかを探ります。
- 行動フロー分析: ユーザーがサイト内でどのような経路をたどったかを見る分析。
- GA4では「経路の探索」機能がこれに該当します。ユーザーが特定のページに到達するまでの経路や、離脱するまでの経路を視覚的に把握することで、ユーザーがどこで迷っているか、どこで離脱しているかを特定できます。
改善策の立案と効果測定
分析で得られたインサイトを元に、具体的な改善策を立て、その効果を測定します。
- 仮説を立てる: 「このページの直帰率が高いのは、コンテンツが古いためではないか?」といった仮説を立てます。
- 改善策を実施する: 仮説に基づき、コンテンツを更新する、デザインを変更するなどの改善策を実行します。
- 効果を測定する: 改善策実施後、Google Analyticsで関連する指標(例:直帰率、平均エンゲージメント時間)が改善されたかを確認します。これにより、実施した改善策が効果的であったかを検証できます。
- PDCAサイクルを回す: Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルを継続的に回すことで、Webサイトを継続的に改善し、目標達成に近づけます。
Google Analyticsを活用する上での注意点と落とし穴
Google Analyticsは強力なツールですが、いくつか注意すべき点や陥りやすい落とし穴があります。 Gdn 広告 種類
データ収集の正確性
- トラッキングコードの設置ミス: コードが正しく設置されていないと、データが収集されなかったり、誤ったデータが収集されたりします。GA4では「デバッグビュー」を活用して、リアルタイムでイベントが計測されているか確認できます。
- フィルターの設定: 自分のアクセスを除外するフィルターを設定しないと、内部アクセスがデータに含まれてしまい、正確なユーザー行動が把握できません。社内IPアドレスを除外する設定は必ず行いましょう。
- 計測漏れ・重複計測: SPA(シングルページアプリケーション)サイトでは、通常のページビュー計測だけでは計測漏れが発生することがあります。また、複数のトラッキングコードが設置されていると重複計測が発生し、データが水増しされてしまいます。
データ解釈の注意点
- 相関関係と因果関係: ある指標が上がったからといって、それが直接的な原因であるとは限りません。例えば、SNSからの流入が増えたとしても、それが新商品の発表によるものなのか、それとも特定のハッシュタグが流行したためなのかは、さらに深掘りして考える必要があります。
- データの局所性: 短期間のデータや、特定のセグメントのデータだけを見て全体を判断すると、誤った結論を導き出すことがあります。長期的なトレンドや、複数のセグメントを比較して全体像を把握することが重要です。
- 目標設定の重要性: 何を達成したいのかという明確な目標がないと、Google Analyticsのデータは単なる数字の羅列になってしまいます。コンバージョン目標を具体的に設定し、それに紐づく指標を追跡することが重要です。
プライバシーとセキュリティ
Web解析ツールは、ユーザーの行動データを収集します。このため、プライバシー保護の観点から適切な対応が求められます。
- 個人情報保護法(GDPR/CCPAなど)への対応: 世界中で個人情報保護に関する規制が強化されています。Webサイトは、プライバシーポリシーを公開し、ユーザーデータの収集目的や利用方法を明確に説明する必要があります。
- Cookieの利用と同意: Google AnalyticsはCookieを利用してユーザーを識別します。Webサイト訪問者に対して、Cookieの使用に関する同意を得るためのバナーやポップアップ(Cookie同意管理ツール)の設置が推奨されます。
- IPアドレスの匿名化: ユーザーのIPアドレスを匿名化する設定をGoogle Analyticsで行うことで、よりプライバシーに配慮したデータ収集が可能です。
まとめ:Google Analyticsを継続的に活用するためのヒント
Google Analyticsは一度設定すれば終わりではありません。継続的にデータをチェックし、改善活動に繋げていくことが、Webサイトの成長に不可欠です。
定期的なデータチェックの習慣化
- 週次/月次レポートの作成: 毎週または毎月、主要な指標(訪問数、ユニークユーザー数、コンバージョン率など)をチェックし、レポートを作成する習慣をつけましょう。これにより、サイトのトレンドを把握し、変化にいち早く気づくことができます。
- 異常値の発見: 普段と異なるデータ(急激なアクセス数の増加や減少、直帰率の急上昇など)がないかを確認します。異常値は、Webサイトに何らかの変化があったサインであるため、その原因を深掘りして調査することが重要です。
目標設定とKPIの見直し
- 明確な目標設定: Webサイトを運営する目的(例:商品売上を増やす、問い合わせを増やす、ブランド認知度を高める)に基づき、具体的な数値目標(KPI)を設定します。
- KPIの見直し: ビジネス目標やWebサイトのフェーズが変われば、追跡すべきKPIも変わります。定期的にKPIを見直し、現状に即した指標を設定することが重要です。
- コンバージョン設定の最適化: 目標を達成した際に計測される「コンバージョン」の設定が適切であるかを確認し、必要に応じて改善します。
最新情報へのアンテナと学習の継続
Google Analyticsは常に進化しており、特にUniversal Analytics(GA3)からGoogle Analytics 4(GA4)への移行は大きな変化でした。
- 公式ヘルプとブログの活用: Google Analyticsの公式ヘルプやGoogleのブログは、最新の情報や機能について学ぶための貴重な情報源です。
- コミュニティと情報交換: Web解析コミュニティやSNSグループに参加し、他のWeb担当者と情報交換を行うことで、新しい知見や解決策を得られます。
- Web解析の専門家からの学び: Web解析に関する書籍やオンラインコース、セミナーなどを活用し、知識を深めることも重要です。
これらのヒントを参考に、Google Analyticsを日々のWebサイト運営に積極的に取り入れ、データに基づいた意思決定を重ねていくことで、あなたのWebサイトは着実に成長していくでしょう。
Frequently Asked Questions
Google Analyticsとは何ですか?
Google Analyticsは、Googleが提供する無料のWeb解析ツールです。Webサイトにアクセスしたユーザーの行動データを収集・分析し、サイトのパフォーマンスや改善点を把握するのに役立ちます。
Google Analytics 4 (GA4) と Universal Analytics (GA3) の違いは何ですか?
GA4は、Universal Analyticsの後継バージョンであり、よりユーザー中心のデータモデルを採用しています。GA3がセッションとページビューを中心に計測していたのに対し、GA4は「イベント」を中心に、Webサイトとアプリの両方からユーザー行動を統合的に計測します。GA3は2023年7月1日にデータ処理を停止しました。
Google Analyticsの導入は難しいですか?
初心者でも比較的簡単に導入できます。WordPressを使用している場合は、Googleの公式プラグイン「Site Kit by Google」などを利用すれば、数クリックで設定が完了します。HTMLサイトの場合は、トラッキングコードを直接Webサイトに貼り付ける必要がありますが、これも指示に従えば難しくありません。
Google Analyticsは無料で利用できますか?
はい、Google Analyticsは基本的に無料で利用できます。ただし、大規模な企業向けの「Google Analytics 360」という有料版も存在します。
Google Analyticsで何が分かりますか?
Webサイトへの訪問者の数、どこから来たのか(検索エンジン、SNS、広告など)、どのページを閲覧したか、どれくらいの時間滞在したか、どのデバイスを使っているか、問い合わせや購入などの目標達成状況などを把握できます。
直帰率とは何ですか?
直帰率とは、ユーザーがWebサイトにアクセスした後、1ページだけを見て他のページに移動せずにサイトを離れてしまった割合です。直帰率が高い場合、そのページの内容がユーザーの期待に応えていない可能性を示唆します。 Facebook cpc 平均
コンバージョンとは何ですか?
コンバージョンとは、Webサイト運営者が設定した目標が達成されたことを指します。例えば、商品購入、資料ダウンロード、問い合わせフォームの送信、会員登録などがコンバージョンとして設定されます。
Google Analyticsで個人情報は収集されますか?
Google Analyticsは、個別のユーザーを特定できる個人情報(氏名、メールアドレスなど)を直接収集することはありません。しかし、IPアドレスやCookieなどの情報を使用してユーザーを識別し、行動データを収集します。そのため、プライバシー保護の観点から、Webサイトのプライバシーポリシーに明記し、Cookie同意バナーを設置するなどの対応が推奨されます。
Google Analyticsのデータはリアルタイムで確認できますか?
はい、「リアルタイム」レポートを使用すると、現在Webサイトにアクセスしているユーザーの数や、どのページを見ているか、どこから来ているかなどをリアルタイムで確認できます。
Google AnalyticsでWebサイトの改善点はどうやって見つけますか?
直帰率が高いページ、平均エンゲージメント時間が短いページ、コンバージョン率が低いページなどを特定し、その原因を深く掘り下げて分析することで改善点を見つけます。例えば、特定のページでユーザーがすぐに離脱している場合、コンテンツの見直しや導線の改善を検討します。
Google Analyticsの目標設定(コンバージョン設定)はどうやるのですか?
Google Analytics 4では、「管理」セクションの「イベント」で、特定のユーザーアクション(例:特定のページの表示、ボタンクリックなど)を「コンバージョンとしてマーク」することで設定できます。これにより、その目標達成数を計測できるようになります。
Google AnalyticsとGoogle Search Consoleは連携できますか?
はい、GA4はGoogle Search Consoleと連携できます。これにより、Webサイトの検索パフォーマンスデータ(検索クエリ、表示回数、クリック数など)をGA4のレポート内で確認できるようになり、より包括的な分析が可能になります。
Google Analyticsのデータはどれくらい正確ですか?
基本的には高い精度でデータを収集しますが、トラッキングコードの設置ミス、広告ブロックツールの利用、Cookieの無効化など、いくつかの要因によってデータにずれが生じる可能性があります。完璧な正確性を保証するものではありませんが、傾向を把握し、意思決定を行うには十分信頼できるデータです。
モバイルとPCからのアクセス状況は確認できますか?
はい、「ユーザー」レポートの「テクノロジー」セクションで、ユーザーがどのデバイス(デスクトップ、モバイル、タブレット)からアクセスしているかを確認できます。これにより、モバイル最適化の必要性などを判断できます。
どのページが一番見られているか確認できますか?
はい、「エンゲージメント」レポートの「ページとスクリーン」セクションで、各ページの表示回数や平均エンゲージメント時間を確認できます。これにより、どのコンテンツが人気で、ユーザーの関心が高いかを把握できます。
Google AnalyticsでABテストはできますか?
Google Analytics自体にはABテストの機能はありませんが、Google Optimize(※2023年9月にサービス終了)などのツールを連携させることでABテストの結果をGoogle Analyticsで分析することができました。現在は、Google Analyticsのデータを基に別のABテストツール(VWO, Optimizelyなど)を利用することが一般的です。 Filetype 検索
期間比較分析とは何ですか?
期間比較分析は、現在のデータと過去のデータ(例:今月と先月、今年と昨年)を比較して、Webサイトのパフォーマンスの変化を把握する分析手法です。これにより、施策の効果測定や季節変動の把握ができます。
Google Analyticsの用語が多すぎて分かりません。
最初は覚えることが多いかもしれませんが、主要なレポートと指標(訪問数、ユニークユーザー数、直帰率、コンバージョン率など)から始めて、徐々に理解を深めていくのがおすすめです。Googleのヘルプドキュメントやオンラインのチュートリアルも活用しましょう。
Google Analyticsのデータを社内で共有するにはどうすればいいですか?
レポートをPDFやCSV形式でエクスポートしたり、Looker Studio(旧Googleデータポータル)と連携させて、見やすいダッシュボードを作成して共有したりできます。また、Google Analyticsの管理画面から他のユーザーにアクセス権を付与することも可能です。
Google Analyticsを学ぶためのおすすめの方法はありますか?
実際に自分のWebサイトに導入して触れてみることが一番の学習方法です。また、Googleが提供する「Google Analytics Academy」の無料コースを受講したり、Web解析に関する書籍やブログを読んだりすることも非常に有効です。
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